ポピー/デイジー/ツバキ

今年の春、お箸置きにポピーが加わりました。

2016年からデイジーと椿を定番として制作してきましたが、おそらくこちらのポピーも定番の仲間入りを果たすことになりそうです。

今日は少し素材への想いと制作のことをお喋りいたします。
このお箸置きの素材は『錫』です。作家として制作を始めた時からずっとお世話になっている田代合金所さんのもの。鋳物用に鋳型に流れやすいよう配合されたものを入手しています。
こちらの地金が少し浅い銀鼠色で、結晶の出た時もマットに上がった時も表情がソフトで美しいのです。錫を扱い始めて10年ちょっとになりますが、他の錫合金も使用してみて気づいたことは、各合金により錫の表情、色合いが全く違う・・ということ。同系統の銀鼠の中に、それぞれの重みが反映されてきます。配合が違うので当たり前といえば当たり前なのですが。。重低音がよく出るスピーカーと高音を拾うスピーカーのような感覚の違いがあると思っています。
この錫はどちらかと言うと、軽めの質感、明るめの色味を持つ、高音系でしょう。つくりたい形に寄り添ってくれる素材でした。

好きだと思える素材に出会えて良かったなあ。。と鋳込んで割り出すたびに思っています。

錫の作品は原型から完成まで、ひとりで行っています。原型をつくり、その原型を元に鋳型をつくり、錫を流し込み、湯道(金属を流すための道)を本体から切り外し整えます。
鋳造は型をつくる作業がメインなところがありまして、金属の本体を作る為に原型、鋳型と金属以外の素材としばらく向き合うことになります。粘土(原型)→石膏(原型)→シリコン(鋳型)→金属(品物)と扱う素材が移り変わり、一週間ほど段階を踏んで制作を進め、うまく行った時の達成感はハンパないです。

そんなこんなで出来上がった箸置きたちを箱に詰めて送り出す時は幸せです。
食卓で華やぐ姿を想像しながら、せっせと詰めます。

本日はこんな感じで。
ご拝読ありがとうございました!